AIGと「ハドソン川の奇跡」

2009年1月15日、ニューヨークのラガーディア空港からシャーロット行1549便が離陸しました。その直後、両側のエンジンに鳥が巻き込まれ、エンジンがダウンする事態となりました。離陸から4分というわずかな時間で、機長のチェルシー・"サリー"・サレンバーガー機長はハドソン川への不時着を行い、155名の乗客全員を無事に脱出させました。この脱出劇は「ハドソン川の奇跡」として知られています。

1549便の賠償保険を引受けていたAIGは, 乗務員と恐怖に脅える乗客が救命ボートで助けを待っている間に駆けつけました。この保険は航空会社または乗務員に責任がある事故にのみ適用されるものでしたが、この事故の原因は鳥であることは明白でした。しかし、事故理由に関わらず、低体温症となったり負傷したりしている乗客に対してのケアを行うべきだというのがAIGとUSエアウェイズの判断でした。もともとの補償範囲ではなかったのにも関わらず、AIGは緊急対応に関する費用をカバーし、USエアウェイズが緊急の医療処置に対して乗客一人当たり5,000米ドルの支払いを用意できるような補償を行いました。

乗客および乗務員の身の安全が確保された次の段階では、個人財物の補償が焦点となりました。水面に不時着した際に、乗客はラップトップやバッグなどの持ち物を機内に残して脱出しました。事故に関連するそのような請求の全件について、AIGは係争することなく対応を完了しました。

並行して事故原因を公に特定するための調査が進められ、2010年、米国の国家運輸安全委員会は、サレンバーガー機長がハドソン川に不時着するのではなくラガーディア空港に戻ることも恐らく可能だったこと、しかしそれには人命を危険にさらす可能性があったとの結論を出しました。それは、機長の判断が的確なものだったことを裏付けるものでした。

保険金の支払対応が終わり、調査も完了したあと、機体をどうするのかという問題が残りました。AIGは飛行機自体の保険も引受けていたことから、損失と見なされた機体の所有権はAIGに移転されました。個人のコレクターや、ダイナーに改装したいと考えた人などから多くの申し出がありましたが、AIGはこれをノースカロライナ州シャーロット-事故当日に1549便が目指していたもともとの目的地-にあるカロライナス航空博物館に寄贈しました。

※AIG米国本社によるストーリーに基づく和訳です。