世界金融危機により注入された公的資金を完済

2008年の米国発の世界金融危機により米国連邦政府から公的資金の注入を受けたAIGは、その公的資金を完済し、企業史上、最大級の経営再建を果たしました。

AIGへの公的資金注入は、2008年までの数年、AIGの中で金融商品を取り扱う部門がクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の引受を通じて金融機関に広範なサポートを提供していたことが発端となりました。当時、投資銀行は金融機関の住宅ローン担保証券の保証を目的にCDSを購入していました。しかし、サブプライムローンの債務不履行が加速すると、CDSの評価額は数十億米ドルも落ち込み、世界中の銀行を震撼させました。

この結果、AIGは支払いを保証するために現金担保の拠出が必要となり、ムーディーズ・インベスターズ・サービス、スタンダード&プアーズなどの格付会社がAIGの信用格付けを引き下げると、担保のさらなる上積みを余儀なくされました。こうして資金の確保を突如迫られた結果、AIGは窮地に立つことになりました。

米国の連邦準備制度理事会(FRB)と米国財務省は問題を認識し、対応に乗り出します。当時、AIGは1兆米ドル超の資産を保有しており、FRBがその他の事業は健全であると認識したことから、最終的に米国政府から1,820億米ドルに達する公的支援が提供されました。

AIGは、できる限り早期の公的資金の返済を目指し、一部の保険事業と不動産資産などの売却を開始しました。その一方、米国外のAIG各社は、米国のサブプライム問題が深刻化するなか、お客さまに保険契約はしっかり履行されることを説明し、納得してもらう必要に迫られました。

2009年、そのような中で新たにCEOに就任したロバート・ベンモシェは、会社が向うべき方向はお客さま第一主義に則った経営の再構築であると宣言しました。その戦略は成功し、2010年度には約80億米ドル近くの純利益を計上しました。AIGの復活に伴い、FRBと米国財務省は保有株式の売却を開始し、2012年12月には米国財務省が最後の2億3,400万株のAIG普通株式を売却し、最終的に総額227億米ドルの利益を上乗せする形で公的資金の完済に至りました。

※AIG米国本社によるストーリーに基づく和訳です。