企業向けの賠償責任保険のなかでも、物的損害や死亡が伴わない経済損害を補償する経営保険と呼ばれる分野のアンダーライティングを担当しています。アンダーライティングとは契約の加入依頼があった場合に審査を行い、引受条件の設定や引受の可否を判断する業務で、きわめて多角的な視点が求められます。例えば、とあるリスク対策を実施していないというお客様が2社いらっしゃったとして、一見すれば両者は同じように見えますが、その内容には当然大きな違いがあります。片方は単にその対策を怠っており、もう片方は独自のリスク評価を行い別の形でリスクを低減する手法を採用しているかもしれません。そのためお客さまにご記入いただいた質問書をもとに、場合によってはお客さまからさらにお話を伺いながら最終的な引受判断をしていきます。

アンダーライターの仕事は意思決定をすることです。しかし引受判断には多角的な視点が求められ、AIやロボットのように事前に定められた情報だけで判断を行うわけではありません。お客様のニーズに応えるため、リスクが高いと思われることに挑戦することもあります。当然ですが自分の意思決定の結果がどうなるか、事前に知ることはできませんので、何が正解か見えない中での判断をしていくことになります。だからこそ、私は意思決定の理由や背景を誰に対しても明確に説明できることが重要だと考えています。自分がどうしてその判断を下したのかという点について、いつ誰に聞かれてもきちんと答えられるようなフレームワークをきちんと自分の中に持つことを心がけています。また、私が関わっている経営保険はリスク環境の変化のサイクルが早いため、常に国内外の情報に目を向け、意思決定の精度を高めるようにしています。

私が取り扱う経営保険の分野は、海外で生まれた商品のコンセプトを「輸入」してきた商品が多くを占めています。AIGがグローバルで培ってきた知見を最大限に活用し、日本企業の皆さまに世界水準の商品・サービスをお届けすることが現在私のチャレンジしていることであり、目標です。それに加えて、今後は日本固有の環境から生まれた保険商品や、販売手法を、逆に海外のAIGに「輸出」したい。そんな野望も抱いています。

※記事内容及び社員の所属は取材当時のものです。